皮膚炎の基礎知識

 

アトピーの対策に入る前に、まずは広義としての皮膚炎についても切っておいた方がいいでしょう。この皮膚炎とは皮膚に起こる炎症のことを指していて、よく湿疹とも呼ばれています。

 

皮膚炎(湿疹)の特徴としては「外見上でいろいろな固疹がみられる状態」という点があり、また病理学的には「リンパ球などの炎症細胞浸潤がみられること」も特徴となります。

 

ただし皮膚炎にはいろいろあるので、きっちり統一した定義にはなりにくく、当然ながらそうした多様な症状に伴って、皮膚炎(湿疹)の経過も多様となっています。

 

典型的な経過としては、まずは炎症が起こって毛細血管が拡張した紅斑という状態が原因になっており、その後、細静脈からの滲出が進行して皮膚が次第に膨らんできて、これを滲出性丘疹と呼んでします。

 

更に滲出が進行すると小水泡になり、炎症細胞の量が増加すると膿疱となります。細菌性皮膚炎として特徴的なのが膿疱ですが、細菌が存在しない状態でも炎症細胞が増えれば起きる可能性があります。

 

こうして水泡や膿疱が大きくなると、やがて破れて「湿潤やびらん」となります。この後、滲出液が固まると瘡蓋(かさぶた)のような結痂になります。そして最後には炎症から形態変化を起こした皮膚が新陳代謝で消えようとするわけで、こうなれば殆どの場合は治癒となりますが、怖いのはリモデリング(再構築)されてしまう場合です。

 

これが表皮が厚くなって粗い皮膚構造になってしまう苔癬化で、よく起こる皮膚炎となるのがアトピー性皮膚炎であり、他にも脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、貨幣状湿疹、痒疹などがあります。

 

中でもアトピー性皮膚炎はやっかいなもので、アレルギー反応と関連があり、更に皮膚の炎症(湿疹など)を伴うものなので、過敏症の一種とされています。

 

日本皮膚科学会ガイドラインによると、アトピー性皮膚炎は皮膚の生理学的異常を伴っているとされており、いろいろな非特異的刺激反応や特異的アレルギー反応が関与しているのです。従って患者の多くが持っているアトピー素因を見極めなければならないのです。